大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和38(オ)802 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人寺井俊正の上告理由第一点について。

控訴人(上告人)が所論三一四番の宅地について賃借権を取得した後被控訴人(

被上告人)が右宅地の所有権を取得するにいたるまでの経緯について原審が確定し

た諸般の事情のもとでは、原判決が被控訴人は右宅地の原判示明渡義務の不履行に

よつて上告人の前記賃借権についての対抗要件の具備を妨害したと即断しえない旨

判示したのは正当である。所論は、ひつきよう、右と異なつた見解に立つて原判決

を攻撃するに帰するから、採用できない。

同第二点について。

控訴人は、所論三一三番の宅地上に登記した建物を有しないから、右宅地に対す

る賃借権をもつて、「建物保護ニ関スル法律」一条の規定により被控訴人に対抗す

ることができない旨の原審の判断は正当であり、原判決の引用する第一審判決が所

論四の上告人の主張について判断していることは、判文上、明らかである。所論は、

ひつきよう、原判決を正解せず、これと異なつた見解に立つてこれを攻撃するに帰

するから、採用できない。

同第三点について。

被控訴人が、本件土地を買い受ける当時、控訴人が同土地について賃借権を有す

ることを知つていただけでは、被控訴人が控訴人の右賃借権を否定することをもつ

て、直ちに権利の濫用であり、信義則に反するとは断定しえない旨の原判示は、前

記法律一条の法意に照らし、正当である。所論は、ひつきよう、右と異なつた見解

に立つて原判決を攻撃するに帰するから、採用できない。

- 1 -

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!